機動戦士ガンダム MS IGLOO -1年戦争秘録- 第03話 「軌道上に幻影は疾る」(最終回) - アニメとゲームと恋の楽園
2015/03/29

機動戦士ガンダム MS IGLOO -1年戦争秘録- 第03話 「軌道上に幻影は疾る」(最終回)

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(C)創通・サンライズ

ジオン軍の幻の主力候補のモビルスーツが蘇るお話です。

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今回の物語は宇宙世紀0079年10月24日と示されていましたので、初代ガンダムの
時系列でいうならアムロ・レイとランバ・ラルが戦闘を繰り広げていた頃になります。
もちろん地球連邦軍はV作戦を発動させて次々と機動兵器を投入するわけでして、
冒頭でも新型モビルアーマーのボールが投入されているシーンが描かれていました。
そういう背景がある中で今回のエピソードが始まっています。


ジオン軍の新型試作モビルスーツのヅダがヨ-ツンヘイムに配備されてきました。
このヅダは主力機のザクIIよりも加速度とスピード性能があるのが特徴の機体です。
ザクIIよりも性能が高いとなれば、このズダがジオンの主力量産型モビルスーツとして
制式採用されてもおかしくないわけですけど、これにはある理由があるわけでした。
今回はこのズダにまつわるエピソードとなっています。
ちなみにヅダに乗ってきたパイロットはジャン・リュック・デュバル少佐です。
ズダのテストパイロットとして第603技術試験隊に配属されてきました。

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この作品ではオリヴァー技術中尉が技術本部長のアルベルト・シャハト少将から
テスト任務を命じられるシーンが度々描かれているのも印象に残りますね。
彼らの会話の中ではヅダが高スピードでの耐久性が低いために爆発事故を起こし、
ザクIとの正規採用テストから脱落した
という話がされていました。
ザクII以上の性能を持ちながらその性能を有効に発揮できないのなら仕方ないかな。
ただ、オリヴァー技術中尉は今のヅダにはさらなる改良を加えられているはずだから、
もう何の問題もなく実戦配備できるという自身も持っていましたわ。
試作兵器が実戦で戦果を挙げてくれると大きく自分の評価に繋がってくると思うので、
そういう意味でも彼らがこのヅダに期待をかけたくなるのも頷けます。

あと技術本部長からジオン軍が地球で苦戦を強いられているという話もありました。
それゆえ、ジオン軍としては兵士と国民の士気を低下させないためにもこのズダを
次期主力兵器として投入する事をプロパガンダとして大きく宣伝させていました。

それと本編の主役モビルスーツのガンダムの映像が映しだされていたのも注目です♪
もちろんジオン軍側から見れば恐ろしい敵が現れたという認識なのでしょうけどね。
だから彼らは一刻も早く新たな試作モビルスーツを実戦投入したい気持ちが強いはず。

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3機のヅダが評価テストを行っている時にその中の1機が暴走して爆発してしまいました。
制止命令を無視して加速を続けたからといってもヅダのエンジンの暴走が起こったのは
事実なので、まだ機体の改良は充分でないことが証明されていたかな。
これではザクIIに代わって主力モビルスーツに採用されるのは難しいでしょうね。

陽気な性格のヒデト・ワシヤ中尉が仲間の死を嘆き悲しんでいたのも印象に残ります。
テストパイロットだから事故で命を落とす可能性がある事は覚悟はしているとはいえ、
こういう形で仲間を失うのは相当ショックなのでしょう。
彼の死を無駄にしないためにもズダの欠陥部分の改良を行って、一刻も早く実戦に
送り込めるようになれたらいいのですけどね・・・・・・。
優れたモビルスーツの開発には犠牲もある事を示していたシーンだったと思います。

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オリヴァー技術中尉は以前の事故と全く同じ結果になっている事に不審を抱きます。
そこで今回の改良機と以前の機体との相違点をジャン少佐に尋ねていましたけど、
その彼はあまり触れられたくないといった態度を示していたから気になりますよね。
おそらく彼は既にヅダが何の改良も施されれていない事を知っていたのでしょう。
だから評価テストの時も部下のヅダには制止を命じておいて、自分の機体だけで
安全速度ギリギリの範囲でテストを行うようにしていたものと思われます。
つまりジオン軍の広告塔の役を演じるのを承知の上で任務をしているわけですわ。

ただ、連邦軍によってズダの本当の情報が暴露されてしまう事になりました。
せっかくヅダが配備された事で第603技術試験隊の士気が上がっていたところなのに、
連邦軍によって一気に落胆させられたものだから困ったものですよね。
とにかくヅダが何の改良もされていない宣伝のためだけの道具なのが判明したので、
これでは地球へ送り込んだとしても何の戦果も期待できなさそう・・・。
あと敵がなぜ試作兵器の段階の詳しい情報を手に入れているかが不思議ですよね?
確かに戦争となれば情報戦も重要な部分を占めていますし、敵の士気を下げるための
工作活動も常套手段ですから、こういうのもよくある事なのでしょう。
この作品はリアルな戦争により近い雰囲気で描いているのも特徴の1つかもしれません。

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地球連邦軍のオデッサ作戦によりジオン軍は地球での主導権を失ってしまいました。
そこでヨ-ツンヘイムは地球から脱出する将兵達を収容するための任務に就きます。
この事からも連邦軍の情報のほうが正しかったという事が証明されていたかな。
そうなるとヅダの不完全さも証明されたようなものなのでもう使えないでしょうね。

あとヅダを開発したツィマッド社とライバル関係にあるジオニック社の事について
ジャン少佐が語っていた内容なんかも今回の注目ポイントになっています。
どうやらヅダとザクIとの正規採用競争には裏工作もあったようですわ。
もし正規採用されれば量産化にも弾みがつくし、企業の利益や価値も上がりますので、
どちらも自社のモビルスーツを採用されるために必死になるというものなのでしょう。
ただ味方同士で足の引っ張り合いをしているようにも見えるから滑稽な感じもします。
きっとそういう事なんかも新型モビルスーツの導入が遅れる要因にもなったのでしょう。
これは初代ガンダムにおいてほぼ中盤辺りまでザクが主力のまま据え置かれていた
状況とも繋がってきているなぁって感じる部分でもありました。

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地球各地の戦場から次々とジオン軍の将兵達が宇宙へと逃げてきていましたけど、
あまりにも多い数なのでこれでは全てを収容するのも難しいような気もします。
それに回収されるまでは連邦軍には良いカモ状態なので撃ち落とされていました(汗)
陸上仕様のザクではボール相手に全く歯が立たないということも示されていましたね。
おそらく宇宙空間で取り残されたまま戦死していく兵士達も多くいたのでしょう。
実戦経験を積んだ歴戦の兵士達を失うようなものなので、これがジオン軍の兵力の
低下の1つになっていたのではないかなぁって思ったりもします。

「予備の1機も出せ。パイロットは私だ。」
モニク特務大尉がヅダを使ってでも救出活動を行おうとしてくれていました。
次々と戦死していく兵士達を黙って見過ごせないのでしょう。
自分達がジオン軍にとっては宣伝活動のための偽装部隊という事を知ったために、
それならばヅダを見事に運用してみせて見返してやろうと思ったのかもしれません。
きっと彼女の命令は落ち込んでいたジャン少佐をもう一度奮い立たせたと思います。
この作品では敵への怒りよりも軍上層部への不満をよく描いている感じがします。
むしろこういう描き方がキャラの心情を上手く表現できているような気もします。
ほぼ一話完結の物語でありながら、キャラの存在感が出せているのが素晴らしい。

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「モビルスーツ・ズダはもはやゴーストファイターではない。この重大な戦局で
確かに戦っている。この独立戦争に厳然と存在しているのだよ。」

ジャン少佐のヅダは連邦軍のボールとジムをスピードで圧倒していました。
たとえ最大戦速で戦えなくても十分に戦える事を証明していたように思います。
それでもジャン少佐にとってはこの愛機ともいえるヅダの性能を100%出して
正規採用されなかったヅダの汚名を返上させたかったのでしょう。
自爆するのを覚悟でジムとのチキンレースをしていたから凄い執念ですわ。
彼はたとえ軍のピエロを演じさせられていても、心の中ではパイロットとしての
誇りを持っていたように思います。

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「この歴史の真実は何人たりとも消せない。」
ジャン少佐は3機のジムを道連れにして宇宙空間の中で散っていきました。
彼の活躍により多くの将兵が救われたと思うので決して犬死にではないでしょうね。
それに彼のヅダの活躍によって他の2機が引き続きヨ-ツンヘイムで護衛機体として
使用される決定がされましたので良かったのではないでしょうか。
もちろん制式採用での量産化の道は閉ざされたままですが、このまま幻の機体として
廃棄されるくらいなら少しでも活用されると戦死した彼も浮かばれると思います。

1話と2話はモビルスーツに主役の座を奪われた試作兵器のエピソードでしたけど、
今回は同じモビルスーツ同士の正規採用競争を描いた点が違っていましたね。
たとえ主流となる兵器でもさらなる正規採用競争の厳しさがある事を教えられました。
軍としては少しでも性能の高い兵器を配備したいと思うものですから、自ずとこういう
軍需企業間での競争が生まれてくるものなのでしょうね。
そういう競争に否応もなく巻き込まれたのがヨーツンヘルムの第603技術試験隊の
兵士達だったと思います。

★総評★
他のガンダムシリーズと違って主役モビルスーツやそのパイロット達にではななく、
試作兵器の技術評価をする将兵の視点で描かれている点に珍しさを感じました。
それゆえに一年戦争の奥の深さを伝えることに成功していたように思います。
あと理想や誇りを持って任務を遂行する将兵達の姿を上手く描いていたと思います。
そして軍の上層部によって理想や誇りを打ち砕かれるような扱いを受けた事で
失意のどん底に落ちていく様子なんかもよく伝わるように描いていました。
このようにたとえ戦いの主役になれなくても、置かれた状況の中でもがき苦しみながら
全力で任務を全うしていこうとする将兵達の生き様に魅せつけられました。
こういう短編モノのガンダム作品というのもなかなか興味深いものがありますね。

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